新歓ライブを見たその建物の3階には
サークルが所有するスタジオがあった
スタジオと言っても
防音の設備も整っていない
10畳ほどの部室同然の部屋であったが
小さなギターアンプ、使い古されたドラムセットと
サークルの先輩が持ち込んだ
ベースアンプがあった
演奏すれば音は外にダダ漏れなため
演奏は全ての講義が終わった夕方以降のみ
可能という状況ではあったが
何よりも幸運だったのは僕らが所属した音楽サークルは
ギターの弾き語りを中心とした学内で一番小さな音楽サークルであったため
あえてスタジオを使用して練習する部員がおらず
入部当時からスタジオを貸し切り状態で心行くまで使用できたことだった
その後バンドが学内に残った3年間
後に加入することとなる
1年先輩のベースの中島大介とともに
毎週金曜日の夕方6時から
学内の送迎バスが終わる午後9時までの3時間を
僕らはこの部屋で過ごすこととなる
思い返せば
バンドの骨格を作る貴重な時間であった
その3年間と
あの小さなスタジオのことは
今でも懐かしい思い出としてメンバー内の話題に上がっている