学生時代には
授業の合間や放課後の多くの時間をサークルの部室で過ごした
部室には卒業した先輩が新しく入部する部員のためにと残したギターが3本あった
そのうちの1本はガットギター（ナイロン弦を張ったクラシックギター)で
音のバランスが良く
柔らかい音が出るこのギターを当時僕はとても気に入っていた
当時のライブで使用していたヤマハ製のメインギターは
スタジオセッションのある金曜日にだけ
学校に持ち込んでいたため
学生時代に最もよく弾いたギターは
ひょっとしたらこのガットギターだったかもしれない
ガットギターは音量もそれほど大きくなく
弦も柔らかいので弾いていて疲れないため
楽曲のモチーフの作成や
リフの作成にはとても便利だったのだ
年間に5本程度ある学内のライブの全てに
オリジナル楽曲で出演しよう決めた当時の僕らは
とにかく多くの楽曲を作成する必要があった
ステージでオリジナル曲を演奏するようになってからは
いつも似たようなライブを繰り返すようになったと
サークルの先輩や仲間から指摘されるような事には
なりたくないと考えていたから
当時僕らのバンドは1曲1曲の完成度を上げることよりも
とにかく多くの曲を作ることを目指していた
曲が出来ないからといってライブの出演を休んだり
あるいはまた以前のようにコピーバンドとしてライブに出演するという事態には
絶対になってはならないと考えていたのだ
当時はそんな思いの中
スタジオセッションのある金曜日に
なんとか一つでもバンドに新しいアイデアを持ち込めるようにと
部室でギターを弾きモチーフを作成する毎日だった
週末のスタジオに部室で作った楽曲のモチーフを持ちこみ
そのモチーフをバンドで様々な試行錯誤を繰り返しながら曲に仕上げて
楽曲のイメージに合わせた歌詞を書き
学内のライブで披露する
そんなプロセスを何度も繰り返すうちに
音楽性の違いから
常に解散の危機と隣り合わせで
活動していた僕らの中にも徐々に
バンドとしての仲間意識が芽生えていった
