2005年
卒業を間近に控えたこの頃
1年先に卒業した中島を除いた
Red Colored Gunの三吉と直江の間では
卒業の記念として
どこか印象に残る珍しい場所にでも出かけようという
話題が上っていた
当時も変わらず週に一度のペースで学内にあるスタジオに入っていて
学内でも毎日のように顔を合わせていた二人ではあったが
休日にまでどこかに出かける機会はそれほど多くなかったため
その計画はなかなか進まなかった
そんなある日
何気なく見ていたインターネットの記事で目にした
六本木のビートルズバーが候補地として急浮上した
そこでは毎晩ビートルズの楽曲を専門に演奏している専属の
所謂ハコバンが
目の前でビートルズナンバーを生演奏し
完全コピーするというのだ
楽しみにして出かけて行った当日
ビートルズの初期のロックンロールナンバーに思い入れの強い直江は
I saw her standing thereを
どちらかと言えば中期や後期の楽曲を
愛聴していた三吉は
Don't let me downを
それぞれリクエストし
それらの楽曲は噂にたがわぬ見事な完全コピーによって披露されたのであった
30分1セット4ステージの中
名曲の数々が次々に披露され
その全てが実に見事な演奏だった
あたかもCDやレコードで聴いてきたビートルズが目の前に現れたように
錯覚するほどの素晴らしいパフォーマンスだったのだ
さらに驚くべきことには
芸術性が高まった挙句
作り込んだレコード音源を再現することが不可能となり
その結果本人たちのライブでも披露されたことのない中期から後期のナンバーまでもが
シンセサイザーなどの現代の技術を用いてステージで披露されたのだ
中でもStrawberry Fields Foreverの美しさには本当に驚かされた
改めてビートルズの偉大さや楽曲の素晴らしさに触れた
文字通り音楽に酔いしれた夜となった
その後
スタジオセッションやライブの打ち上げに使われる飲食店のBGMで
ビートルズナンバーが流れ始めると
だれからともなくビートルズ談議が始まり
尽きることのない音楽話で盛り上がっている
3人が共に愛聴するバンドがそれほど多くはないRed Colored Gunだが
やはり
ビートルズは例外である