学生時代にはRed Colored Gunとしてのバンド練習のほとんどを
学内にあるスタジオで行っていたが
学園祭などのサークル主催のライブの直前は
さすがにスタジオ利用希望者が多かったため
外部のリハーサルスタジオを利用せざるを得ないこともあった
学外のスタジオは当然有料のため
僕らのバンドは時間を気にせず利用できる
学内のスタジオでの練習を優先させていたが
学内のスタジオにはない高価なドラムセットやアンプなどを
使用して演奏ができるという理由で
たまにしかない学外のリハーサルスタジオでの練習の機会は楽しみでもあった
そんな中
僕がギタリストとして楽しみにしていたのが
定番の機材として
ほとんどどこのリハーサルスタジオにも常設されている
マーシャルアンプを用いてのセッションだった
学内のスタジオでは20W程度の出力のトランジスタアンプを利用していたが
外部のスタジオでは最高級の100Wのマーシャルアンプが使用できるため
桁違いの迫力のギターサウンドを用いて
バンドでセッションが出来るということが
大きな楽しみだったのだ
初めてマーシャルアンプを使用した時には
その桁違いのサウンドのコントロールや
音質調整に使用するトーンコントロールのつまみの数の多さなどに対して
戸惑いが大きかったが
真空管アンプ特有の温かみのあるサウンドと
ギター演奏の細かいニュアンスに反応するレスポンスの良さに本当に驚かされた
ギタリストは
自らのパーソナルトーンとも言える歪んだギターの音色を
エフェクターを用いて作り出すタイプと
アンプそのもので作り出すタイプで分かれるが
Red Colored Gunのボーカルギター三吉は完全に後者のタイプのギタリストである
いくつかのエフェクターを組み合わせて歪みを作る手法は
ライブ中でもそれぞれの楽曲に合わせて
いくつかの歪みのトーンを使い分けることが可能である
という大きなメリットがあるが
こうした利点を手放すことを受け入れたうえでも
敢えてアンプの歪みのサウンドを最大限に活用して
ギタートーンを作り出す手法を選択している
これはギターの音色作りに関しては
極力複雑なセッティングを避けて
シンプルな状態を保つことが
ギターやアンプが持っている本来の良さを引き出すための
ベストな選択だと考えているためである
そして仮に楽曲の中で別のギタートーンが必要な場合には
使用するピックアップ(弦の振動を電気信号に変えるパーツ)を切り替えたり
ギター本体のボリュームを調整したりすることによって必要なトーンを得ている
近年はエフェクターも使用しているが
これはあくまでギターとアンプによる音作りを補うためのものであって
Red Colored Gunのメインとなるギタートーンは
ギターとアンプのみで作られたものである
Red Colored Gunのベーシストの中島大介とドラマーの直江卓哉は
非常に高い音圧でバンドのサウンドを支えている
これらのサウンドに対抗するために必要な
強力なギタートーンを生み出すことが可能なマーシャルアンプの存在は
今ではRed Colored Gunのサウンドに欠かすことの出来ないものとなっている